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2002年10月号 『コロンブス』 42ページ

 大里衛生材料製造所は、1956年の設立。 ガーゼマスクをメインに眼帯、脱脂綿などを製造してきた。 ガーゼマスクの全国シェアは約1%。従業員4は村木久雄社長の家族4名という、失礼ながら”どこにでもある会社”である。 
いや、それどころか”従来の商売は、全盛期の3分の1程度まで落ち込んでしまいました。もしインターットがなかったら、当社はなくなっていたでしょうね”と村木さんは言う。
運盟を分けたネット販売事業参入の契機になったのは、95年に開かれた名古屋商工会議所主催のパソコン教室。 コンピューターエンジニアだった村木さんは、コーディネーターの立場で参加したのだが、会場で大手メーカー、富士通の担当者から同社のレンタルサーバーの話を聞く。 
”ドメイン名も収得できることが分かったので、これを活用したら絶対に伸びると直感しました。” さっそく”mask”のドメインを取得、翌年96年からマスクに関するホームページを開設して、それを通じた販売事業に着手する。
コンペチターの商品まで扱うという村木さんの発想は、見事に当たった。  取り扱いアイテムは次第に増え、いまや”関連メーカーならしらない者はない”存在に。 ガーゼマスク、花粉症マスクなどおなじみの商品だけでなく、防塵マスク、防毒マスク、サージカルマスク
など、分け隔てなく掲載されている。
 インターネットの威力をまざまざと見せつけたのが、1年前の炭疽菌騒動。”何でもそろう”ホームページに掲載された特殊マスクを求めて、防衛庁のほか名だたる大手企業などから注文が相次いだのである。
 ”とにかくエンドユーザーの声を聞くことが大事。困っているところを助けようという発想でいけば、仕事はいくらでもあります”(村木さん)という姿勢を貫いていることも、成功の秘訣か。