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毎日新聞 2001年10月21日

【1】炭疽菌:日本でもマスク売れる  

米国で炭疽(たんそ)菌による被害が拡大する中、日本国内でも自己防衛を図ろうと、「マスク」への関心が高まっている。生物・化学兵器に対応可能な緊急避難用マスクの予約文が相次ぎ、従来型の防毒マスクも売れている。

 各種マスクを通信販売する「大里衛生材料製造所」(名古屋市)ではテロ後の売り上げが、防じんマスクなどを中心に前年同期の約3倍に増えた。今までほとんど売れなかった1万円超の防じんマスクも、今月に入って10個以上売れた。同社はマスク専門ホームページ(http://www.mask.jp/)を開設しているが、村木久雄社長は「マスクについてメールで寄せられる質問も、一般の方たちの関心が高いのか、かなり専門的」と話す。

 東京・新宿で作業衣や防災用品を扱うワークショップ「萬年屋」は、9月の歌舞伎町火災を受けて店頭に防毒マスク類を展示した。さらにテロが起きたため、携帯用の防煙・防じんマスクがここ1カ月で数百個も売れた。万年玲子総務部長は「高層ビル群があるから一般の方たちの関心も高いのでしょうか。もし米国と同じようなことが起きたらと考えると(売れ行き好調も)うれしくはないです」と複雑な表情。

 国内で初めてNBC(核・生物・化学兵器)対応の一般向けマスク(7000円)を11月初めに発売する「興研」(本社・東京)には、今月4日の予約受け付け開始から既に2000件を超える注文があった。「細菌テロに対応するマスクはあるか」との問い合わせも殺到し、同社は「これまで一般市民から直接の注文は少なかったのでかなり驚いている」という。